涙がこぼれないように 君を思い出すけど

はてなブログのオススメ記事を辿らせていただいて見つけたお話。

kinakoneko.hatenablog.com

 

マンガの最後の、おじいさまが亡くなった後もずっといつものようにニコニコしていたおばあさまが泣きわめくところで堪えきれなく…

祖母も、ずっとニコニコではないけれど亡くなったときも家に帰ってきたときもお通夜も告別式も気丈に振る舞っていたのに、棺の蓋をするときと火葬に入るその瞬間の2回だけ泣き崩れていて。どんなに長年連れ添っても15年前に進行性のガンという大病を患っても9月から入院気味でも、そして当たり前に “いつかいなくなってしまう” って知っていても、それでも “いつかいなくなってしまう” ことへの “覚悟” なんて、きっと祖母も、誰も、できていなかった。

だって、ほんの1年前にみんなで旅行していたんだもの。この間、パソコンの中の写真を見ていたら、去年、祖父母とわたしの両親とわたしとで登別に行ったときの写真が出てきて、このときはぜんぜん元気だったのになあ、これが最後だったんだなあと思って。今年の春にだって、叔父と2人で開通したばかりの北海道新幹線に乗って東北旅行していたのに。

まったく心の準備なんかできてなかったし、こんなに早く逝ってしまうなんて思ってもいなかった。

 

そして、祖父が生きていたころはそこまで気にすることはなかったのだけど、いなくなってしまったら、チョコレートとかリンゴとか焼き芋とか和菓子とかようかんとかトマトジュースとかコーヒーとかラーメンとかお寿司とかまぐろとか〆サバとか、街で見かけるいろんな食べ物に「これじいちゃん好きだったなあ」とか「おみやげに買って行ったら喜んだだろうなあ」と考えてしまって辛くなる。

祖父は大好きな食べ物がたくさんあったけれど、さらによく言っていたのがべこ餅で。

祖父が幼いころ、母親に作ってもらっていたというべこ餅。端午の節句のお菓子らしいけれど、北海道では年中売っているのでときどき何個か買って行くと、「こんなに食べられないよ~じいちゃん胃ほとんどないんだからね?」と言いつつ、数時間おきにパクパク食べていて、また次の日遊びに行くとぜんぶ食べてなくなっちゃってる、みたいな、そのくらい大好きで。

ブログの方がいちじくの季節になるとおじいさまを思い出すと書いてらっしゃるように、祖父が5月になるといつも母親が作ってくれたべこ餅の味を思い出すと言っていたように、きっとわたしも、5月になってお店でいつも以上にたくさん積まれているべこ餅を見るたびに、新聞を読みながらべこ餅を頬張っていた祖父の姿を思い出すんだろうな。

 

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今年の年賀状をいまさら整理して、祖父から届いた年賀状を見た。

「健康第一に暮して下さい」の言葉にまた涙が出てくる。